翻訳トライアルに合格する6つの秘訣
このコンテンツは、現役のプロ翻訳者であるアキラがネイティブの翻訳者と協力して、日常英会話で使う表現や勉強法をできるだけ分かりやすい言葉を使って説明するメディアです。
こんにちは!
英会話ハイウェイ運営者のアキラです。
今日は、翻訳トライアルに合格する秘訣についてお話しします。
在宅翻訳者として仕事を始めるには、翻訳会社が実施するトライアルに合格することが必要です。
でも、翻訳トライアルは合格ラインが高いため、なかなか合格することができずに挫折してしまう人が大勢います。
この記事では、翻訳の経験もコネもない状態から始めて、過去10年以上、実務翻訳で生計を立てている筆者が、翻訳トライアルで合格するための秘訣についてお話しします。
翻訳トライアルに合格しなくて悩んでいる人は参考にしてください。
目次
翻訳トライアルとは
翻訳の仕事を始めるには、大きく分けて以下の3つの方法があります。
- ランサーズなどクラウドソーシングサイトに登録して仕事を見つける。
- 翻訳会社と契約する。
- メーカーや貿易会社などの企業と直接契約する。
ランサーズなどのクラウドソーシングサイトに登録して翻訳の仕事を始めるのなら、翻訳トライアルに合格する必要はありません。
自分で、「私は翻訳者です」と宣言すればいいだけです。
でも、単発の仕事が中心になるので継続的に収入を得ることは困難です。
また、メーカーや貿易会社と直接契約するには、企業と交渉するだけの営業力やコネが必要です。
したがって、主婦や会社員などの一般人が翻訳の仕事で継続的に収入を得るためには、翻訳会社と契約することになります。
翻訳会社と契約するには、翻訳会社が提供する翻訳トライアルに合格する必要があります。
翻訳トライアルに合格して翻訳会社と契約すると、以下の流れで仕事を受注することができます。
つまり、翻訳会社が企業から仕事を受注して、それを在宅翻訳者が翻訳するという流れです。
翻訳トライアルはネットを通じて申し込むことができるので、翻訳者は営業活動をする必要はありません。
また、翻訳会社との信頼関係ができれば継続的に仕事の依頼が来るので、収入が安定してきます。
翻訳トライアルに合格する秘訣
ここでは、翻訳トライアルに合格する秘訣についてお話しします。
私は実務翻訳(産業翻訳)を専門にしていますので、小説や映画の字幕のような文芸翻訳のトライアルではなく、実務翻訳のトライアルについてお話しします。
翻訳トライアルに合格するためには、以下の点を徹底しましょう。
- 文法に忠実に訳す。
- 文脈に合った訳語を選択する。
- 辞書に載っている訳語を使う。
- 訳語を統一する。
- 言い回しを統一する。
- 時間が許す限り繰り返し見直す。
以下に、それぞれについて説明します。
文法に忠実に訳す。
流ちょうな日本語訳を作れることを見せようとして、原文の文法を無視して翻訳する人がいますが、止めておいた方がいいです。
学校で習った文法ルールに従って訳してください。
実務翻訳では原文にできるだけ近い翻訳文が求められるため、原文の文法を離れた翻訳文は評価されません。
また、本人は上手に訳せているつもりでも、プロの目で見れば実力不足がバレバレです。
例えるなら、野球の初心者が格好だけ一流選手の真似をするようなものです。
見る人が見れば一瞬で実力がバレてしまいます。
いい格好をしようとして実力不足を露呈するよりも、原文に忠実に訳して真面目で几帳面な訳文を作る方がいいです。
ただし、学校で習った文法ルールに従って訳すとは言っても、日本語として不自然だったり意味が通じなかったりしては意味がありません。
ですので、原文の文法に忠実に訳しながら、日本語として自然な翻訳文を目指しましょう。
辞書に載っている訳語を使う。
何となく雰囲気が似ている訳語を選ぶのではなく、辞書に載っている訳語を選びましょう。
たとえば、「most」には「ほとんどの」という意味がありますが、何となく意味が似ているので「多くの」と訳してしまう人がいます。
「ほとんどの」と「多くの」は意味が違うので誤訳になります。
1語1語、丁寧に辞書で意味を調べて正しい訳語を使いましょう。
文脈に合った訳語を選択する。
必ず文脈を考えて適切な訳語を選びましょう。
「とりあえず辞書に載っている言葉を選ぶ」というのでは翻訳トライアルは不合格です。
たとえば、「solution」という言葉は、辞書には「解決策」や「溶液」などが載っています。
しかし、IT分野では、「問題解決を支援する製品やサービス」という意味で「ソリューション」という言葉が使われます。
それを知らずに「解決策」と訳していては誤訳になってしまいます。
別の例をあげると、「desktop」という単語には、「机の上」、「デスクトップ(コンピュータ)」、「デスクトップ(パソコンの初期画面)」など複数の意味があります。
「デスクトップ」という言葉を聞き慣れているからといって、何も考えずに「デスクトップ」と訳すと誤訳の可能性があります。
必ず文脈に合った訳語を選びましょう。
訳語を統一する。
同じ言葉は、同じ日本語に訳しましょう。
たとえば、最初は「manager」を「マネージャー」と訳しておきながら、途中で「manager」を「支配人」と訳すなど、同じ言葉を別の日本語に訳してはいけません。
「manager」を「マネージャー」と訳すなら、文章全体を通じて常に「マネージャー」と訳しましょう。
これは動詞についても当てはまります。
たとえば、「use」を「使う」「使用する」「用いる」など、さまざまに訳す人がいますが、これも統一する必要があります。
ただし、最初に出てきた「manager」は芸能人のマネージャーを指していて、後で出てきた「manager」はバーの支配人を指している場合など、訳し分けが必要な場合は、しっかり訳し分けましょう。
言い回しを統一する
同じような英文は、同じような日本語文に訳します。
たとえば、「For more details, please refer to Chapter 10.」という英文を「詳細については、第10章を参照してください」と訳したとします。
後で、「For more details, please refer to Chapter 13.」が出てきた場合、同じように「詳細については、第13章を参照してください」と訳す必要があります。
「詳しくは、13章を読んでください」など、異なる言い回しを使ってはいけません。
入力仕様を統一する
英数字は半角で入力する、丸括弧は全角で入力する、など、入力仕様は完璧に統一しましょう。
また、不要なスペースを残さないように、翻訳が終わったらWordの検索機能を使って不要スペースを消しましょう。
時間が許す限り繰り返し見直す。
翻訳ができたら、次の日以降に見直します。
見直しは1度だけでなく、時間が許す限り繰り返し見直しましょう。
これ以上は、どこも修正するところはないという確信が得られたら納品します。
翻訳トライアルに合格する秘訣のまとめ
この記事では、翻訳トライアルに合格する秘訣についてお話ししました。
「秘訣」という言葉から、何かトリックのようなものを想像していた人には申し訳ありません。
翻訳トライアルに合格する秘訣は、ここで紹介したように丁寧な翻訳文を作ることです。
流ちょうな日本語文を作れても、訳抜けがあったり訳語が統一されていなかったりなど、雑な翻訳をしていたら翻訳トライアルには合格できません。
几帳面なくらい丁寧な翻訳文を作ることが、翻訳トライアルに合格する秘訣です。
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