翻訳者の仕事は、AI翻訳に取って代わられるのか?
このコンテンツは、10年以上の経験を持つプロ翻訳者であるアキラがネイティブの翻訳者と協力して、日常英会話で使う表現や勉強法をできるだけ分かりやすい言葉を使って説明するメディアです。
こんにちは!
英会話ハイウェイ運営者のアキラです。
私は、10年以上にわたってフルタイムで翻訳の仕事をしてきました。
今は、翻訳者になりたい人のために、オンラインの翻訳講座を提供しています。
そういう理由から、私のところには翻訳とAI(人工知能)について質問がよく届きます。
「翻訳の仕事は、AIに取って代わられるんでないの?」という質問です。
今回も、同じような質問が届きましたので、現時点での私の見解についてお話しします。
翻訳者の仕事は、AI翻訳に取って代わられるのか?
以下に、コンピューターを使ったAI翻訳(機会翻訳)について、私の考えをお話しします。
AIを使った翻訳が人間に完全に取って代わるには、人間と同じレベルの思考力を持つAIが必要です。
行間の意味や文脈、筆者の思考の流れなどを理解できなければ、正しい翻訳はできないからです。
それがいつになるのかは、今のところ誰も知りません。
確かに、現在でも「AIを導入した」と宣伝する翻訳ソフトは存在します。
でも、そういうAI翻訳ソフトを実際に使ってみると、期待どおりの翻訳結果が得られないことがわかります。
こうした翻訳ソフトの多くは、文法に基づいて言葉を入れ替えることで文章を翻訳します。
どのような言葉を選ぶかは、統計に基づいて選択されます。
でも、それだけでは、二通り、三通りの解釈ができる文章を正しく翻訳することができません。
たとえば、「私はラーメンを食べながら走っている男性を見ました」という文について考えてみましょう。
ラーメンを食べているのは、「私」でしょうか?それとも「男性」でしょうか?
人間であれば、ラーメンを食べながら走る人はめったにいないので、ラーメンを食べているのは「私」だと判断できます。
でも、AIで翻訳する場合、「ラーメンを食べながら走る人はいない」という常識をAIが知らなければ、この文を正しく訳すことができません。
「原文を書く人が、AIに誤解されない文章を書けばいい」という意見もあるかもしれません。
でも、そうなると、AIに誤解されない文章の書き方を人間が学ぶ必要が出てきます。
(2023/07/06追記)なお、DeepLのようにニューラルネットワークを用い、大量の翻訳データを使って学習することで自然な翻訳文を作り出すサービスもあります。
しかし現状では、訳抜けが発生したり意訳しすぎたりするなど、大切な文章をAI翻訳だけに任せるのはリスクの高い状況です。
そのため、誤訳や訳抜けの可能性がゼロの翻訳ソフトが完成するまでは、自分が読むだけの文章は翻訳ソフトで訳し、大切な文章やお客様が読むような文章は翻訳者が訳す(または翻訳ソフトで訳したモノを人間が修正する)、という分業が続くかと思います。
AI翻訳が人間の翻訳者に取って代わるには、人間が自然に書いた文章をAIが文脈まで理解して正しく訳せることが必要です。
そのレベルのAIがいつ登場するかは誰にもわかりません。
参考に読んでください。
ちなみに、Google翻訳では独自の方法で翻訳が行われますが、まだ人間に取って代わるにはほど遠いと言えます。
■参考
⇒翻訳者は「AI翻訳」に仕事を奪われるのか?
⇒「急速に進化した機械翻訳」に、それでもできない3つのこと
30年~50年先に、翻訳の仕事は存在するのか?
仮に、30年後に、完璧なAI翻訳が完成したとします。
それくらい技術が発達していれば、翻訳だけでなく、医師、弁護士、会計士、接客業、事務員、教師など、今は安泰と考えられている仕事の大部分が機械に取って代わられているはずです。
今とはまったく違う世の中になっていますので、今から心配してもどうしようもありません。
そうなったときに困らないために、今やるべきことは、翻訳など、軸となるスキルを1つ身につけることです。
そして、将来的に翻訳の仕事がなくなるのであれば、英語スキルを生かした別の仕事に転向すればいいのです。
仮に、完璧な翻訳・通訳ソフトが登場して、英語スキル自体が不要になってしまったとしても、別のスキルを身につけて仕事にすればいいだけです。
翻訳者になれるくらいの能力があり、学習を継続できる人であれば、翻訳以外でも活躍できる分野はいくらでもあります。
それがどのような仕事なのかは、今は誰にもわかりません。
10年後、20年後には、今ある仕事がなくなり、今は存在しない仕事が生まれているからです。
でも、生計を立てられるレベルのスキルを1つ身につけていれば、その成功体験が大きな自信となり、別の分野でも活躍できるようになります。
もはや、1つのスキルを身につけたら一生安泰ということはありませんので、いずれにしても、今後も学び続けることは必須になります。
一昔前の世代なら、大学を卒業するまでに身につけたスキルだけで、一生食べていくこともできた。
でも、今は技術の進歩が驚くほどに速いから、それに合わせて仕事のあり方も急速に変わっている。
だから、技術の進歩に合わせて新しいスキルを身につけないと、仕事そのものがなくなってしまう。
おじいちゃん、おばあちゃんがうらやましい!
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実は私も、翻訳者になるべく勉強していたとき(20年くらい前)に、翻訳の仕事がコンピュータに取って代わられるのではないかと心配していました。
翻訳の師匠にそのことを相談すると、「いや、人間の翻訳者がコンピュータに取って代わられることは絶対にない!」という断固とした返事でした。
師匠は、定年退職まで大手企業の技術者として働いていた人で、コンピュータについても専門家だったので、彼の言うことを信じて翻訳者になりました。
そして今、Google翻訳など優れた翻訳ソフトは登場しましたが、人間の翻訳者の地位を脅かすには、ほど遠いレベルです。
その理由は、すでにお話ししたようにコンピュータでは文脈を読めないからです。
もちろん、内容を理解できればいいレベルの翻訳であれば、翻訳ソフトで事足りるでしょう。
でも、プロの翻訳者が求められるのは、
- 書籍として出版するのに耐えられるレベルの文章
- 大切な取引先に送ってビジネス取引ができるレベルの文章
- 海外製の機械やソフトウェアをお客様が迷うことなく使えるレベルの文章
です。
そもそも、翻訳者に求められる翻訳は、内容を理解できればいいレベルの翻訳とはターゲットが違うのです。
もちろん、我流では、それだけの翻訳スキルを身に付けることはできません。
プロの翻訳者から、きちんとしたスキルを学ぶ必要があります。
もしあなたが、「翻訳を学びたいけど、誰から教えてもらったらいいかわからない」というなら、英会話ハイウェイの超短期翻訳講座を読んでください。
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翻訳家並の訳が可能になったAIの翻訳機が、翻訳家に取って代わる日が来るのでしょうか?
100年200年先なら構いませんが、30年~50年先はいかがでしょうか?
知人や専門機関(翻訳会社)に聞いてみても意見がまちまちです。
個人的には、機械的なプログラミングをふむ従来のAIには、まともな翻訳はできないと思います。
ただし、たとえば『日本語の作文技術』(本多勝一)の法則を覚えて臨機応変な作業をするAIが現れたら脅威だと思います。
いかがお考えでしょうか?